あらすじ
リナサと婚約していたヴァインは、彼女の事を全く気にかけることなく毎日を過ごしていた。
「良いのですかヴァイン殿。今日このパーティーで今月何度目ですか?リナサ様がどう思われるか…」
かねてからのヴァインの友人あるバロックが、彼に対しそう警告する。しかしヴァインの方は全く聞き入れる気がなく…
「そんなものはどうでもいいんだよ。別にどこかへ消えたいのならそうすればいいし、婚約を辞めたいのならやめてもらって構いはしない。少なくとも私は、自分の欲望には正直に生きていきたいのだよ」
そうとだけ告げると、彼はその場を立ち上がってワイングラスにワインを注ぎ、また新しい女性の元へと向かって歩み始める。
「…どうなっても知らないぞ、ヴァイン…お前は昔からそうなんだから…」
女たちの波の中へと消えていく彼を見ながら、バロックはそう嘆きの声を上げるのだった。
――――
「ま、またパーティーですか…」
ヴァインにそう詰め寄るリナサ。しかし当の本人はそれがどうしたといった表情を浮かべる。
「仕方がないだろう。付き合いというものがあるんだ。教育をまともに受けていないお前にだってそれくらいは分かるだろう?」
「…」
私は虐げられ続けてきた貴族の生まれ。そんな私を婚約者として取り込むことで、この人は対外的に自身の好感度を上げようと考えていた。自分はどんな身分の人にも分け隔てなく接するのだと。しかし実際はこの態度なのが現実だった。