あらすじ
「レヴァン様、いかがなさいますか?」
第二王子レヴァンの召使であるクルフは、ある内容についてそう言葉を問いかけた。
「ああ…第一王子でもあり、次期国王が内定している兄を打ち負かすためには、婚約というカードで戦うほかないわけだが…その相手というのが、本当にユリーアでいいものか…」
次期国王の座を狙うレヴァンは、なによりの障壁である第一王子ジーグクリフをどかさなければならなかった。しかし頭脳にしても、政治的な力にしても勝る点を持たないレヴァンは、婚約者の力をうまく利用し、政治的な立ち位置を強くすることでなんとかジーグクリフを打ち負かそうと考えていた。その中で決心したのが、かつて皇帝一家であったものの血を引くとされたユリーアとの婚約であった。
「仮にも、この国を支配していた帝の血を引く存在…ユリーアを婚約者とすることで、いまだに帝の夢を見ている者たちからの支持を得て、次期国王の座を奪うことができると思っていたのだが…」
しかしそううまくはいかなかった。彼らが考えていたほどには、かつての帝に夢を抱く人々は少なかったのだった。
「…このまま効果を期待できない婚約を続けても、時間の無駄だろう…早急に婚約破棄を決行し、新たな婚約者候補を探すのが正しいか…」
そう話し合った二人は、時間を経ずにユリーアとの婚約の破棄を内々に決め、表沙汰としては信用を落としてしまうために、秘密裏にユリーアの追放を行った。
…しかしこの判断が、自らを次期国王の座から遠ざける決定的な出来事としてしまうのだった…
――――