あらすじ

「サラザ様、いかがなさいますか?」

 第二王子サラザの召使であるレイヴンは、ある内容についてそう言葉を問いかけた。

「ああ…第一王子でもあり、次期国王が内定している兄を打ち負かすためには、婚約というカードで戦うほかないわけだが…その相手というのが、本当にアリシアでいいものか…」

 次期国王の座を狙うサラザは、なによりの障壁である第一王子ジースクリフをどかさなければならなかった。しかし頭脳にしても、政治的な力にしても勝る点を持たないサラザは、婚約者の力をうまく利用し、政治的な立ち位置を強くすることでなんとかジースクリフを打ち負かそうと考えていた。その中で決心したのが、かつて皇帝一家であったものの血を引くとされたアリシアとの婚約であった。

「仮にも、この国を支配していた帝の血を引く存在…アリシアを婚約者とすることで、いまだに帝の夢を見ている者たちからの支持を得て、次期国王の座を奪うことができると思っていたのだが…」

 しかしそううまくはいかなかった。彼らが考えていたほどには、かつての帝に夢を抱く人々は少なかったのだった。

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