あらすじ
光の宗教国家《ルーメン教国》では、永遠に消えぬ光が人々の救済と信じられている。
だがその光は、地下聖域に幽閉された“存在しない王女”エリシアが、闇と罪をその身に引き受け続けることで保たれていた。
闇を吸うたびに感情を失い、人としての輪郭を削られていくエリシアは、自らを犠牲と認識することすら許されず、ただ「考えなくていい」お教え込まれて生きている。
一方、光の象徴として育てられた皇太子レオンは、偶然地下で彼女と出会い、その存在を知らぬまま心を通わせていく。
やがてレオンは、教国の歴史から抹消された王女と、光が犠牲の上に成り立つ真実に辿り着く。
彼女を救えば国は闇に沈み、国を守れば彼女は消える__二人は残酷な選択を迫られる。
闇が世界に溢れ、信仰が崩壊していく中で、エリシアはもはや「救われる存在」であることを拒み、自ら闇を統べる王となる道を選ぶ。
その決断は世界を滅ぼすことなく存続させるが、彼女自身の名と居場所を、完全に確認するものでもあった。
光を失った世界で、人々はやがて闇を“罰”ではなく“現実”として受け入れていく。
だが、その夜を誰が抱き続けているのかを知る者はいない。
__これは、救われなかった王女が、世界だけを救った物語。