あらすじ
「峠の上から初めて村を見た時は、くらくらしました。切り立った崖にはさまれた谷底に、赤い瓦屋根の家が並んでいて、教会のような建物があって、学校があって、集会場があって、その向こうに砂浜がのぞいていて、真っ青な海がたゆたっていて。あんまりきれいで、不吉な感じがしました」
「きれいなのに不吉」
「きれい過ぎるものを天が嫌って、崖がパタン、っと閉じて、谷底の村を飲み込んでしまうのではないかと思ったんです」
彼は、彼女の思いに触れて目を細めた。
その島が呼んでいるのを、二人は気付いていた。
・・・・・・
『添(ぞえ)の嶌(しま)』
主な登場人物
皇木 珪:すめらぎ けい 小学四年生 離島留学中
真名井 満干:まない みちひ 小学四年生 村長の孫娘
オズマ括吏:おずまくくり 50代半ば 万邦至天連教(ばんぽうしてれんきょう)の説諭師
御厨間 睦心:おずま むつみ 20代半ば オズマ括吏の血縁者 分校の音楽教師
真名井 雄飛:まない ゆうひ 満干の父親 村長の次男
真名井 雄尊:まない あきたか 現村長
瑞端 兆司:みずはたきざし 30歳 失せもの探しを生業とする
南洲 あまん:なんしゅう あまん 年齢不詳 南大嶌(みなみおおしま)の嶌比丘尼(しまびくに)の家系に連なるもの