あらすじ

九九式双軽操縦者、永友美博曹長 昭和二〇年二月、帝国陸軍、第四航空軍、第七飛行師団、第三飛行団、飛行第七十五戦隊、第三中隊、永友曹長はフィリピンから帰還した。とうとう乗る飛行機が無くなり、内地に取りに来たのだ。本当は昨年一一月には、戦隊に機種改編のための内地帰還大陸命が下っていたが、末期的な現場で、ましてや飛行戦隊、手放すことができず命令が握りつぶされていた。しかし飛行機が無くなってはどうにもならず、やっと帰還となった。 永友は四年ぶりに帰省した。志那に行って以来だ。五尺五寸、十七貫は大男ではないが、飛行帽を被り、飛行服に身を包み、首には絹の白いマフラーを巻き、腰に軍刀を佩いて、航空長靴を履いた永友を見る周囲の目には恐れがあった。戦争中とは言え、新潟の片田舎、亀代村(かめしろむら)で航空兵は極めて珍しい存在であった。

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