あらすじ


町はずれ、川べりに建つ小さな図書館。
司書の井辺杉花蓮のまわりには、今日も“世界の一度きり”が静かに集まってくる。
返却ポストに紛れ込んだ見知らぬ一冊の本をきっかけに、川のこちらと向こうが、ほんの少しだけつながりはじめる――。
事件は起きないのに、きょうという日がすこし特別になる、
大人のための“少し不思議な図書館物語”。

📖あらすじ

町の真ん中を流れる「川」のほとりに、古びた二階建ての小さな図書館があります。
そこで働く司書・井辺杉花蓮(いべ・すぎ かれん)の一日は、いつも決まった手順から始まります。
川べりの道を歩き、ガラス扉の鍵を開ける前に、まず返却ポストをのぞくこと。

ある朝、返却ポストから落ちてきたのは、心当たりのない淡い青色の一冊――『川の向こうで読む本』。
書架を確認すると、同じ番号・同じ装丁の本がすでに棚に並んでいました。
図書館に、同じラベルの本が二冊あることは、本来ありえないはずなのに。

やがて花蓮の前に、「向井」と名乗る男性が現れます。
彼は、川の“向こう側”にあるという「川向市立図書室」の司書だと語り、
「増えてしまった本」と、「一冊でなければならない本」の話を静かに差し出してくるのです。

夜の橋の上、川面に沈んでいく青い本。
返却ポストから届く、不思議な手紙。
そして、「明日の十一時に、川べりのベンチで本をひらいていてください」という、ささやかな約束。

事件も大どんでん返しもない。
それでも、返却される一冊ごとに、その人の、その日の「唯一」がそっと顔を出す。
本と川と小さな図書館がつなぐ、“世界の一度きり”をめぐる連作ライト文芸です。

連載情報

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アルファポリス
アルファポリス2025/11/16
  • 現在の作品井辺杉花蓮さんの唯一な日々。―― 川べり図書館で「一度きり」をあつめる話 ――