あらすじ

不渡り寸前の会社社長・中原は、宝くじの高額当選を隠蔽し、銀行の貸金庫に預けることで窮地を乗り切ろうとする。その裏で、彼を自己欺瞞へと誘う「最初の嘘」が、長年の倫理観を瞬く間に融解させていった。 一方、その金を預かる銀行員・西尾もまた、FX取引で莫大な借金を抱え、ロスカットの淵に立たされていた。中原の行動は、西尾の中に眠る「自分もまた被害者だ」という歪んだ自己正当化を許し、彼の「銀行員としての信用」をも急激に溶解(メルト・ダウン)させる。 数億円の金は瞬く間に消滅し、残ったのは虚無的な静寂と、証拠隠滅のための「火事の噂」。 しかし、黒沼という冷徹な債務整理のプロは、「金は必ず残る」と断定し、終わりのない追跡を始める。 金銭、信用、そして真実さえもが溶け去ったこの地獄の輪廻は、果たして誰かの「悪意」だけで始まったのか? それとも、人間の持つ根源的な自己欺瞞のせいなのか? 欲望と裏切り、そして破滅へと突き進む人間の業を描く、金融サスペンス短編。

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カクヨム
カクヨム2025/10/18
  • 現在の作品融解点:最初の嘘