あらすじ
俺はこのゲームが好きだ。
だが、大ッ嫌いでもある。
なぜなら――主人公ディトが完璧すぎるからだ。
イケメンで、強くて、優しくて、血筋まで高貴。
「選ばれた男が選ばれて世界を救う」――そんな予定調和の物語に、俺は飽き飽きしていた。
仲間を棒立ちにしても、聖剣を木の棒に替えても、ディトは勝つ。
そして決まって言うのだ。
「みんな! みんなの力でついに魔王を倒せた!」と。
いや、お前ひとりで倒してんだろ!!
そんな理不尽な強さに苛立ちながら、俺は画面の中で何度も挑戦した。
だが、どんな手を使ってもディトは勝利する。
「誰か、こいつをぶっ倒してくれ!」
――そう叫んだ瞬間、画面に文字が浮かんだ。
『……あなたが、ディトを倒してくれますか?』
そして次の瞬間、俺は光に包まれ――
目を開けると、そこはゲームの中の世界だった。
だが俺は、勇者でも賢者でもなかった。
転生したのは“名もなき脇役”――村の青年A。
スキルも才能もないただのモブだ。
それでも、俺には使命がある。
あの完璧な勇者ディトを、打ち倒すこと。
強すぎる「物語の主役」に、誰も抗えないこの世界で、
ひとりの脇役が立ち上がる。
歪んだゲームの運命を壊すために――。