あらすじ
私は現実世界で、そこそこ上手く生きていた。
強い者には笑顔を向け、弱い者には手を差し伸べる。ずるい者にはずるく、賢く立ち回る。
誰からも嫌われないように、角を立てずに、波を立てずに。
――それが、私の処世術だ。
けれど、それは長くは続かなかった。
周囲の人間たちが私のいないところで手を取り合っていた。私が軽くあしらった「ずるい者」同士が結びつき、かつての味方までその輪に加わっていく。
共通の敵を見つけたとき、人間は驚くほど仲良くなるものだ。そして、その「共通の敵」こそ――いつの間にか、私だった。
陰口、誤解、悪意の伝言。
笑顔の裏で刺されるような言葉。
――どうしてこうなったんだろう
――もう、笑わなくていい。
――もう、媚びなくていい。
次の瞬間、耳をつんざく衝突音が響く。
生きるために笑い、笑うことで孤立し、孤立した果てに死ぬ。
そしてその間際に眼があう猫
その仕草が、どこか人間めいて見えて、私は可笑しくなった。
そして、そのまま意識は遠のいていった――。
そうして始まる新たな生を始めるのだった。