あらすじ
夢使いを生業とする主人公と大学生、ふたりの関係を都会のコンビニを舞台に描いています。そこは視界樹が夢を育みひとにおろす「視界」と呼ばれる処。そのあがないの立会人である「夢使い」の友情と恋の物語。
第一部:夢のように、おりてくるもの
第二部:梯子と車輪
第三部:『夢の花綵(はなづな)
はるか昔、この視界の王たる夢秤王は、香音(かね)を聞き分けられる人々に視界樹で作られた夢秤を授けた。彼らは「夢使い」となって視界樹の幹からおりる夢という香音を聞き、髪を伸ばし手や爪を使い、依頼人の望む「夢」をおろして暮らしていた。彼らはそれを「贖い」と呼ぶ。ちなみに、秤の金の側におりるのは「晏(あん)」、銀の側を「魘(えん)」と言った。
夢使いは都会のコンビニで働き、そこでイケメン大学生と出会う。
暫くして夢使いの高校のクラスメイトの委員長が偶然コンビニにやってくる。彼女は夢使いの初恋の人だった。委員長の依頼を受けた夜、夢使いは彼女が恋人から酷い仕打ちをされていると知り、もっと自分を大切にしろと言ってしまい家を追い出される。夜道を歩いていると大学生の彼と出会う。彼は何故か夢使いについて詳しい様子だ。翌朝、晏(あん)という特別な夢を見た委員長が夢使いに謝罪し、彼の背中を押す。夢使いは大学生の家に行った。そこで大学生の初恋の相手は、とうに亡くなった「北の夢使い」だと聞く。しかも彼は少年時代にその男と関係していた。自分を愛してくれているものだとばかり思っていたのに違うと思い、夢使いは逃げだした。大学生は店長に住所を聞いて彼の家まで追ってきた。大学生は初恋の相手への償いのためもう誰も好きにならないと自分を縛っていた。まして相手が夢使いだとすれば止めたかったと。なのに「おれは、あなたが好きなんです。止められなかった」と告白する。
二人が結ばれた明け方、夢使いは視界樹からいくつもの香音がおりていき、人のなかで「滋養」となり、それが視界樹の幹をかけのぼる様を見た。
時は経ち、大学生は「夢使い」を学問的に研究する研究員になり、夢使いは魘使いとして名をあげていた。そんな夢使いにヤクザが迫る。自分の腕を欲する男の依頼に夢使いものめりこむ。それを知って嫉妬にかられた研究員は激しく夢使いを非難した。いっぽう研究員は「北の夢使い」そっくりの姪に出逢う。ヤクザと縁を切った夢使いは、ある人間の魔手に落ち―