あらすじ
大学の秋。
昼間、真理は友人たちと卒論や進路について語り合う。周囲は「院に進もうと思う」「就活のエントリーを始めた」など、具体的に動き出している。
けれど真理はどれもはっきり決められない。
卒論のテーマに選んだのは『不思議の国のアリス』。だが、真面目な性格の彼女には「ナンセンス」という言葉がどうにも腑に落ちない。文献を読み込んでも、観念ばかりが先行して実感に結びつかない。
「今さらテーマを変えるわけにも……」という思いが重くのしかかり、焦燥感と不安だけが募っていく。
夜遅くまで図書館や自室で頑張ってみても、方向性や手応えはつかめない。担当教授にも「まだテーマが絞り込めていないな」とやんわり指摘され、さらに落ち込む。
疲れた体でようやく帰宅すると、玄関に小さな小包が置かれていた。
差出人の欄には、見覚えのない名前──「ルイス・キャロル」。