あらすじ

遥か昔——若しくは遥か彼方の未来。   とある時間軸と背中を合わせた世界〈リードラン〉。 彼の地は〈第四の獣〉による〈大蹂躙〉を経て剣と魔力の時代を迎える。 それは創世記に記された第四の獣——〈人類〉の時代の幕開けを意味した。 冒険者はまだ観ぬ財を求め。 騎士は名誉に酔いしれ。 術者は智慧に塗れ。 王たちは栄華の道程に溺れ可能性を貪った。 可能性は無尽蔵で喰らい尽くすことはないと云わんばかりに。 だが夢の時代は、永く続くことはなかった。 リードラン中央へ突如として勃興したフリンフロン王国の存在が夢の時代へ終止符を打ったのだ。 国王ジョージ・シルバの宣言により樹立された〈世界会議〉は圧倒的な武力のもと各国へ秩序を求め、あらゆる経済活動を大貿易都市セントバから実質上の管理監視を行う手筈を整えた。 それから数十年後。 版図拡大や大規模な経済活動を抑止されたリードラン各国では内部紛争、部族間抗争が多発。 どの勢力の背後にも各国他国の思惑が見え隠れし、それは暗黙の了解とともに事実上の国家間代理戦争の様相を呈した。 創世記では〈第四の獣〉と謳われた人類は、こうして〈大蹂躙〉以来の混沌をリードランへ招くと、後世に語られる〈黄昏戦役〉を迎え衰退の刻を迎えることとなる。だが、それは揺らぐ刻——遥か未来の話。 これから謳う物語は、フリンフロン王国勃興から百数年後、永く代理戦争を続けたベルガルキー王国が引き起こし秘匿された〈魔導大災害〉の真相と、その渦中にあった〈四英雄〉の末路をつまびらかにする——隠された英雄譚、〈宵闇の鴉と焔の王子〉から抜粋したものである。 隠された英雄譚とはいつの時代も〈白の吟遊詩人〉が魔力のリュートを携え謳い、決して他の吟遊詩人が謳うことのない、六つの英雄譚。〈宵闇の鴉と焔の王子〉は、その始まりの譚である。

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