あらすじ
直樹の意識は、深い闇の中で揺れ動いていた。
庭先で駆け寄る幼い結菜の笑顔、共に笑い合った食卓の記憶、そして涙とすれ違い。
走馬灯のように浮かぶ光景は、懐かしくも苦しい。
だが次の瞬間、目の前に広がったのは過去ではなく、もしも別の選択をしていたなら歩めたはずのもう一つの人生だった。
直樹の胸に浮かぶのは、ただひとつの問い――「幸せとは何だったのか」。
答えのないまま、闇の奥にかすかな光が揺らめく。
それは彼を裁くものでも、救うものでもなく、ただ静かに照らすだけ。
直樹はその光に導かれるように、一歩を踏み出していく。
問いはまだ解けない。
けれど、その歩みの先に広がる朝の色は、きっと彼だけの答えに続いている。