あらすじ
世界は七色でできている――そう語り継がれてきた。
赤は炎、青は水、緑は命、黄は大地、白は秩序、藍は空、紫は夜。
七色の国々が互いに支え合い、人々はその血と瞳に色を宿して生きてきた。
だが、一つだけ秩序に含まれない存在があった。
それが「無属性の人間」。
色の力を持たず、ただほんの少し身体能力に優れるだけ。
世界では弱小とされ、役割を与えられることもない。
炎朱(えんしゅ)の外れの村に暮らすカイルもまた、無属性の一人だった。
陽気で人懐っこいが、実は色に強い憧れを抱く“色オタク”。
そんな彼の平凡な日々は、ある夜の灰獣(フォー)の襲撃によって破られる。
彼を救ったのは、毛先に七つの深紅の炎を宿す少女――リセリア・フレイ。
赤の国の王女にして、王家にのみ伝わる「赫式(かくしき)」を操る存在。
病に伏す母を救うため、危険な灰の夜に咲く薬草を求めて街道を巡回していた彼女と、偶然出会ってしまう。
無属性であるがゆえに「弱者」とされるカイル。
王族でありながら「少女」として見られたことのないリセリア。
二人の出会いは、七色で構築された秩序に「黒」と「灰」という異端を呼び込み、
やがて世界の根幹を揺るがす戦いへとつながっていく――。