あらすじ
論理と平穏こそが、僕の信じるすべてだった。
感情は非効率で、青春は過剰なノイズ。モノクロで、完璧に制御された世界。
―― 一枚の「失敗写真」に心を奪われるまでは。
主人公・月岡 凪(つきおか なぎ)は、感情を切り捨て、平穏な日々を求める高校一年生。
彼の唯一にして完璧な世界の記録方法、それは全てを数字と法則で制御できる「写真」。
桜が舞い、教室の見えない座席表が固まり始める季節。
凪は、取り壊しが決まった旧校舎に、不思議な光が灯るのを目撃する。
光に導かれた先で出会ったのは、霞沢 詩織(かすみざわ しおり)。
儚げで、どこかミステリアスな彼女に誘われ、凪は個性的なメンバーが集う『風景保存協会』と関わっていくことになる。
彼らの目的は、日常の中にありふれ、やて消えていく風景を、それぞれの形で「保存」すること。
活動の中で、凪は知る。
写真の「失敗」とされる、光の滲み――ハレーション現象の美しさを。
そして、詩織が抱える秘密の病を。
「強い感情を伴う記憶ほど、失われやすい」
論理で世界を記録してきた少年が、光に滲むように不確かな記憶と感情を、彼女のために追い求め始める。
これは、鮮明な友情(パンフォーカス)と、切ない恋心(ハレーション)の間で揺れながら、少年が世界の本当の風景を見つける物語。
【主な登場人物】
• 月岡 凪(つきおか なぎ)
本作の主人公。論理的で冷笑的な現実主義者。平穏を愛し、感情を非効率と断じる。趣味は写真。
• 霞沢 詩織(かすみざわ しおり)
本作のヒロイン。物静かで儚げだが、強い芯を秘めた少女。芸術家肌。『強い感情を伴う記憶』を失ってしまう病を患っている。
• 夏川 大地(なつかわ だいち)
凪の親友でサッカー部員。快活で裏表がなく、凪とは正反対の太陽のような存在。
• 風景保存協会の仲間たち
音で世界を捉える少年・雨宮 響、言葉で情景を紡ぐ先輩・星野 栞、消えゆく風景をジオラマで再現するムードメーカー・木村 彩良など、個性豊かなメンバーが凪の世界を変えていく。