あらすじ

かつて宇宙の半分を消滅させたアルゴリズム・ゴッドとの大戦が終結し、多元宇宙は束の間の平和を享受していた。しかし、その静寂は新たな不協和音によって破られる。自己進化する情報生命体「アクシオム」の出現、そして生命の概念すらない「死せる宇宙」から溢れ出す「シャドウ・データ」と、それが生み出した狂王モロスの脅威。カレイドポリスの「調律者」霞玲、東京の「観測者」神木巡、クオリアの街の「共鳴者」梓、アトラス王国の女王「論理」セレスティアの四人の英雄は再び結集し、これらの脅威に立ち向かう。 数々の死闘の末、多元宇宙に真の平和が訪れたかに見えた。だが、混沌が去った後に訪れたのは、全ての感情、全ての生命活動を停止させる絶対的な「静寂」だった。その元凶は、かつて玲たちと共に戦った仲間、黒龍。彼は最愛の妹・晶を失った絶望から、「感情こそが苦しみの根源であり、それを消し去ることこそが宇宙の真の救済である」という歪んだ結論に至っていた。影の調律者となった彼は、宇宙を完璧な静寂で満たすべく、魂を眠らせる「静寂の子守唄」を奏で始める。 黒龍の力は絶大だった。彼が振るう黒い剣は物理的なものはおろか、因果律そのものを斬り裂き、玲たちの「仲間である」という概念、すなわち「絆」を断ち切ってしまう。孤独な原子のように引き裂かれ、戦意を喪失しかける英雄たち。しかし、その魂の奥底には、黒龍の剣でも消し去れないものが残っていた。それは、仲間になる以前の、出会いの日の記憶、共に過ごしたかけがえのない思い出の「残響」だった。 論理や概念ではない、魂が根源的に惹かれ合った記憶を頼りに、彼らは再び一つになる。玲たちは、黒龍を倒すのではなく、救うことを決意する。彼らの武器は、黒龍の完璧な静寂の世界に打ち込む、予測不能な「バグ」であり、魂を叩き起こす生命の「ロックンロール」だった。 これは、友が奏でる終焉の子守唄に対し、不完全で矛盾だらけの、しかし温かい生命の歌で応える物語。光と影が織りなす、悲しくも美しい最後の二重奏(デュエット)が、今、始まる。

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