あらすじ
あらすじ
後漢末期、乱世の風が中原を裂き、覇者たちが覇を競い合う中――
荊州・隆中の草廬に、静かなる青年がいた。名は諸葛亮、字を孔明。
「臥龍」と称されるその男は、地図の上に描かれぬ「人心の流れ」を読み、民の涙に応えるべき「王者の道」を探し求めていた。
父の教え、友の死、そして数度にわたる来訪者との邂逅を通じ、孔明はただの書生から「覚悟を持った軍師」へと変貌していく。
その先に現れたのは、仁を掲げる男・劉備玄徳。
――これは、一人の青年が“志”を得て、“天下”を動かすまでの立志の物語である。
孔明、いま、龍となりて淵を出ず。
登場人物紹介
■諸葛亮(字・孔明)
静かなる知の化身。「臥龍」と称される、未来を見据える慧眼の士。
乱世において真の「王者の徳」を求め、孤高の草廬にて時を待つ。思索と忍耐に満ちた雌伏の時を経て、ついに己の知を天下に捧げる覚悟を決める。
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■ 劉備(字・玄徳)
「仁」を掲げる流浪の志士。徳をもって人を惹きつけ、乱世の中に一縷の温もりを灯す男。三度草廬を訪れ、ついに孔明の魂に火を灯す。
■ 徐庶(字・元直)
孔明の親友であり、誠実な志士。母を想う孝の情と、主君への忠の間で引き裂かれた悲劇の人。その涙が、孔明の決意を決定的なものにする。
■ 龐統(字・鳳雛)
もう一羽の「龍」。孔明とは異なる手段で民を救わんとする才子。理と情の鋭い対話は、孔明の覚悟を試し、深化させる。
■ 関羽(字・雲長)
剛毅にして誇り高き義の武将。最初は孔明に懐疑を抱くも、彼の実直さと知略に次第に心を開いていく。
■ 張飛(字・益徳)
激情と義侠を併せ持つ猛将。孔明の沈黙に苛立ちながらも、誠の力に触れ、次第に信頼を深めていく。
■ 諸葛均
孔明の弟。兄の背中を見つめ続ける純朴な少年。兄にとって心の拠り所であり、彼の原風景を象徴する存在。
■ 司馬徽(字・水鏡)
孔明の才を見抜き、「臥龍」の器を見定めた名士。物語の節目で、その眼差しは常に本質を射抜いている。