あらすじ
手にできぬ幸せを、影のように追いかけた──。
戦国を駆ける少年たちの、約束と祈り。
それは、言葉にさえならなかった。
けれど確かに、そこに在った。
時は、室町末期。
武と策とが生きる術となった戦国の世。
命は政に組み込まれ、忠義が愛よりも重くなる時代──
少年たちは、ただ生き延びるために剣をとった。
織宮の里に生きる戦忍・結城澄真は、
異国の者のような翠の瞳と、比類なき剣の才を持ちながら、
孤独とともに育った少年だった。
けれど彼は、誰よりも他者の痛みに敏く、
誰よりも誠実に、誰かの幸せを願っていた。
仮面をつけて戦場を駆け、
いつか終わると信じた戦の先に、
手にできぬ幸せを、影のように追いかけていた。
報われぬと知りながら、それでも、少年は誓う。
ただひとつ、名もなき約束を胸に。
──戦火に咲いた、言葉にならぬ絆の物語。