あらすじ

近藤和葉、高校三年生。進路に向き合う初夏。  和葉は幼少の頃より自己主張出来ない性格で将来のことすら話せず、親が決めた大学を進学先と決める。そんな自分に嫌気をさしつつ自己肯定感の低さゆえ、親の意に背くことも自分で将来を決めるのも怖く、現状を変えようとしない。  そんな和葉の心の拠り所は、好きな小説家である昭和初期の文豪、菅原平成の作品を読むことだった。  黄昏時、読書をしながらうたた寝していた和葉は金色の光に包まれる。  目が覚めると見知らぬ一室の布団で眠っており、目の前には見知らぬ男性。着物にモンペ、聞き慣れない関西弁。  状況的に誘拐されたと思い家から逃げ出した和葉が目にしたのは、見知らぬ田舎町の風景だった。  追いかけてきた男性の話から現在は1944年、昭和19年。第二次世界大戦中であり終戦一年前の日本にタイムスリップをしてしまったと悟った和葉は、ショックで倒れてしまう。  そんな和葉を都会から逃げてきたと思った男性、立花大志。21歳。親の田畑を継ぎ、農業に勤しむ農家。  行く場所がない和葉に下宿を提案し、共同生活を送ることになる。  和葉は働かせて欲しいと熱望し、井戸からの水をくみ、釜戸の火おこしからの飯炊、タライでの洗濯に、畑仕事を習う。  全てが初めてで自己肯定感が低い和葉はやっていけるかと悩むが、生きる為にやるのだと決め死ぬ気で働く。そんな和葉に、大志は優しく教えてくれる。  村には男性が殆どおらず皆出征しており、大志の友人も召集命令を受ける。母と息子の別れを目の当たりにした和葉は戦争の悲惨さを改めて知り、大志が出征しないことを祈る。  1945年、戦争末期。戦況はより厳しくなっていく。和葉は日本の行く末を知っているがそれを公にすることは当然出来ず、犠牲になっていく人々に見殺しにしてしまったと病んでしまう。  そんな和葉に、事情を知らないはずの大志が和葉のせいではないと優しく宥めてくれる。そこで大志にも心の傷があったと知った和葉は、二人で生きていくと決める。  自己肯定感が低く流されるまま生きてきた和葉が明日を生きるのにも必死な時代を知り、明るいが心に傷を負っていた大志と出会う。そこから始まる成長の物語。

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エブリスタ2025/08/01
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