あらすじ
石川県の古都・金沢――夜の石畳にこだまするシュタッ、シュタッという足音。観光課職員・初芝藤次郎は、ほろ酔い気分の夜散歩で知られる街角の風情に心を癒されていた。ところが、蒸し暑い夜風に揺れる風鈴の音とともに、彼の前に現れたのは――一匹の白猫と、金色にほのかに輝く「ひとだま」。
猫を撫でた指先から浮かび上がったその灯りを追うと、今度は古い石壁がまるで布のように凹み、裾に梅の小紋をあしらった遊女の幽霊がすっと姿を現す。彼女は言う──「夜の裏メニュー」を案内してやろう、と。友人か厄介者かもわからない、気まぐれ遊女との不思議な共存が、こうして幕を開けた。
初芝の平凡な日常に突然潜り込んだ幽霊の招待状。果たして彼女の目的は何なのか? そして、金箔シャワーに町を染める夜の狂騒、怨念渦巻く旧家の対決、最終契約に秘められた“緊急解除コード”――。夜の金沢を舞台に、可笑しくも少し切ない、幽玄な怪異譚が今、始まる。
『夜の散歩の裏メニュー──ほろ酔い案内人と遊女幽霊の見えない約束』、第一歩を踏み出せば、あなたももう後戻りできない。夜の帳が降りるその瞬間を、どうか見逃さないで。