あらすじ
幼馴染カインの悪戯で、森の奥にある錆びた剣を「勇者の剣」と信じ込んだ少年アル 。彼が「かっこよくなりたい」という純粋な思いで手をかけると、偶然にも台座が崩壊し、剣は抜けてしまう 。仲間から「勇者だ!」と囃し立てられ、その気になったアルは、戦闘センス皆無にもかかわらず「魔王を倒す」と高らかに宣言 。その日から三年間、ひたむきな努力を続け、呆れていた里の人々の心を尊敬へと変えていった 。
ついに旅立ちの日、17歳になったアルを送り出す両親の希望は、息子本人ではなく、彼がその不思議な人柄で引き寄せるであろう「未来の仲間」にあった 。アルのリュックにも、完璧な旅支度と共に、まだ見ぬ仲間と楽しむためのカードゲームや大量のお菓子が詰め込まれている 。
旅の道中、「森の魔女」と村人から忌み嫌われる孤独な天才魔導士リナと出会うアル 。人々が呪いを恐れる中、彼は「すごい魔法が使えるに違いない!仲間になってほしい!」と目を輝かせ、彼女の心の扉を叩き続ける 。やがて強大な魔獣の襲撃を受け、過去のトラウマから力を出せずに追い詰められるリナ 。絶体絶命の彼女に、アルはただ真っ直ぐに告げる。「大丈夫。君ならやれるさ」と 。
これは、戦闘能力ゼロの勇者が、ただひたむきな信頼と肯定の言葉を武器に、傷ついた仲間の心を溶かし、その真の力を解放させていく、心温まる成長と絆の物語。