あらすじ

児童相談所に配属された新人職員・岸本梓は、「子どもを守る」理想に胸を抱いて働きはじめた。

しかし現実は、書類に押しつぶされる日々、援助金のための数字合わせ、そして目の前の子どもたちがまるで“案件”のように扱われていく現場だった。

そんなある日、梓のもとに保護されたのは、柴田翔という無表情な少年。
彼は口をきかず、誰にも心を開かず、ただ古びた童謡を小声で歌っていた。

「ことりは とっても うたがすき……」

その声は、箱の中で息絶えようとする、かすかな命の声だった。

翔を助けたい。そう願えば願うほど、梓は自分の心の深いところが軋むのを感じはじめる。
「小鳥」とは、翔のことなのか? それとも――

社会の網目から零れ落ちた子どもたち。
その子どもを受け止めるはずだった“箱”は、誰を守り、誰を殺すのか。

静かな暴力と、見えない破壊が交錯する、現代社会の深層。

現場の沈黙を描く、壊れていく“心”のドキュメンタリー文学。


「助けたい」と思ったその瞬間、誰よりも脆く壊れていくのは、私自身だった

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アルファポリス
アルファポリス2025/05/31
  • 現在の作品小鳥はその箱で死んだ