あらすじ

児童相談所に配属された新人職員・岸本梓は、「子どもを守る」理想に胸を抱いて働きはじめた。 しかし現実は、書類に押しつぶされる日々、援助金のための数字合わせ、そして目の前の子どもたちがまるで“案件”のように扱われていく現場だった。 そんなある日、梓のもとに保護されたのは、柴田翔という無表情な少年。 彼は口をきかず、誰にも心を開かず、ただ古びた童謡を小声で歌っていた。 「ことりは とっても うたがすき……」 その声は、箱の中で息絶えようとする、かすかな命の声だった。 翔を助けたい。そう願えば願うほど、梓は自分の心の深いところが軋むのを感じはじめる。 「小鳥」とは、翔のことなのか? それとも―― 社会の網目から零れ落ちた子どもたち。 その子どもを受け止めるはずだった“箱”は、誰を守り、誰を殺すのか。 静かな暴力と、見えない破壊が交錯する、現代社会の深層。 現場の沈黙を描く、壊れていく“心”のドキュメンタリー文学。

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カクヨム
カクヨム2025/05/30
  • 現在の作品小鳥はその箱で死んだ