あらすじ
竹やぶに現金一億円の入った鞄が遺棄されるという風変わりな事件が、ワイドショーを賑わせていた。庶民は皆、この目新しい珍事に注目していた。私は自分の職務や生活を尊厳する立場から、この問題の一切を無視する。しかし、ある朝、この私自身も自宅近くのゴミ捨て場において、札束の詰まったトランクを五つ発見することになる。警察に届ければ、幾分かのお礼はもらえるだろうが、自分の家族のプライバシーが世間に晒されることになってしまう。かといって、このまま数億円の大金を見限って、知らんふりを決め込むのも悔いが残る。自分の個人情報を守るために金欲を捨てるか、それとも、大金を着服して悪徳に身を染めるか。私は数日感の熟慮の結果、これを警察に届ける決心を固めるのだが……。
六億円という大金の入った、悪霊のようなトランクに翻弄され続ける、主人公の一週間の様子を描きました。
よろしくお願いします。