あらすじ

柏木は東大生時代の学友で鑑識官の前園とともに、目黒区の有名ホテルで行われている蛍の観賞会に参加していた。彼が助手のころ学部生で、なにかと世話をしていた澤村翠が、この庭園で行われている蛍の人工飼育の責任者を務めているのだった。柏木らはホテルのオーナー、大隈源太郎の招きで、大隈の友人たちとともに夕食をともにすることになった。 柏木は大隈の要望で彼が解決した事件について一同に語り、夕食会は和やかに進んでいたが、突然大隈は暴言を吐き、中座したまま戻ってこなかった。やがて、夫の後を追って夜の遊歩道に出たさくらの叫び声が辺りに響き渡った。大隈は渓流に下りてゆく石段の途中で倒れたまま、絶命していたのだった。 死因は脳挫傷だったが、大隈が会食の場を去る時の様子や、完全な失神状態で倒れたと思われる損傷状態などから、毒殺の可能性が浮上した。しかし、会食の場にいた全員が同じものを口にしていたし、誰にも気づかれずに特定の皿を大隈のところに置くことは困難を極めた。しかも、いくら前園が調べても、こうした場合に使用されそうな毒物はまったく検出されなかったのだった。事故か殺人か……、物思いにふける柏木が何気なく目にした蛍火が、彼にインスピレーションを与えた……。

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小説を読もう2024/06/19
  • 現在の作品蛍火(ほたるび)