あらすじ
私はレイグという、侯爵位級の貴族様と婚約することが決まった。しかしそれは侯爵様の評判を上げるためのパフォーマンスの一環で、私たちの間に愛情関係なんていうものはなにひとつないのだった。
そしてそんなレイグ様には、ソフィーリアと言う妹がいた。彼女は兄が権力者であることを良い事に、兄を誘惑してあらゆる出来事を自分の思い通りに行ってきた。気に入らない者がいれば兄に泣きついて排除させたり、欲しいものを誰か別の人間が持っていれば無理やり奪わせたりもした。
そんな彼女が、自らの力をなくしてしまうかもしれない私の存在を、面白いと思うはずがなかった。
「この家によそ者はいらないのだけれど。あなたがここに来てから空気が濁ってたまらないの。食事だってあなたが近くにいると思いだけでおいしくなくなるし。早く出て行ってくれない?」
口をとがらせながら、心底面白くなさそうな表情で彼女は私にそう言った。
「そうは言っても…レイグ様がお決めになった事なのだからあなたに何か言われる筋合いは」
「うるさい!」
事実を的確に追及されそうになると、彼女はこうして感情的になる。
「あんたが彼を誘惑したんでしょ!彼の権力目当てに近づいておいてよくそんなことが言えたものね!」
それは自分の事でしょう?と言いたくて仕方がない。けれど言ったところで何も変わらないため、静かにやりすごす。
「…もういいわ。今度言っておくから。あんたに嫌がらせをされて仕方がないって。彼は絶対に私の味方をしてくれるのだから、そうなればあんたもおしまいよ」
捨てセリフを吐き捨てた後に、彼女は足早に私の前から姿を消していった。
「…そんなに出ていってほしいのなら、本当に出ていて行ってみようかな…」
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