あらすじ
私はブレンシアという、侯爵位級の貴族様と婚約することが決まった。しかしそれは侯爵様の評判を上げるためのパフォーマンスの一環で、私たちの間に愛情関係なんていうものはなにひとつないのだった。
そしてそんなブレンシア様には、フィリアと言う妹がいた。彼女は兄が権力者であることを良い事に、兄を誘惑してあらゆる出来事を自分の思い通りに行ってきた。気に入らない者がいれば兄に泣きついて排除させたり、欲しいものを誰か別の人間が持っていれば無理やり奪わせたりもした。
そんな彼女が、自らの力をなくしてしまうかもしれない私の存在を、面白いと思うはずがなかった。
「この家によそ者はいらないのだけれど。あなたがここに来てから空気が濁ってたまらないの。食事だってあなたが近くにいると思いだけでおいしくなくなるし。早く出て行ってくれない?」
口をとがらせながら、心底面白くなさそうな表情で彼女は私にそう言った。
「そうは言っても…ブレンシア様がお決めになった事なのだからあなたに何か言われる筋合いは」
「うるさい!」