あらすじ
「エフィーナ様、旦那様が部屋までくるようにとのことです」
「分かりました、すぐに伺います」
使用人のマナが私に対し、上品にそう告げた。彼女の表情から察するに、どうやら私がずっと考えていたことが現実になったのかもしれないと思われた。
「…失礼します」
咳払いのみの返事を聞き届け、私は部屋の中へと足を進める。そんな私の姿を椅子に座る彼は射るように見つめ、言葉を発し始めた。
「聞いたよ。君、ソフィスに直接話をしに行ったらしいじゃないか。一体どういうつもりだ?なぜ私をはさまずに勝手な事をしたんだ?」
ソフィスというのは、この人の幼馴染に当たる女性だ。彼は以前から彼女に対してそれはそれは異常ともいえるほどの執着心を見せており、多くの人々の間で不審がられていた。
「特にお話しするようなことは…個人的なお話があっただけなので、直接お伺いしただけです。それがなにか?」
私の言葉を聞き、彼はやれやれと言った表情で抗議を始めた。
「それがなにか?だと?そもそもお前の身分は私が婚約者として保証してやっているだけで、なんら自分で物事を決められる立場ではないだろう。それをうぬぼれて勝手な行動を起こした挙句に、自分は悪くないと開き直るのか?そもそも個人的な話とはなんだ?どうせ私がソフィスにばかり気をかけているから嫉妬でもしたんだろう?私から距離を取ってくれとでも話をしに行ったのか?それならなおさら無駄というものだ。私たちの関係は深く強く、決して絶えることはない。私には幼馴染である彼女だけがいればいいんだ」