あらすじ
「…旦那様はまたユーフェリスの所へ行かれたのですか?」
「は、はい…どうやらそのようでして…」
そう会話を繰り広げるのは、フィーアとその使用人であるドレイク。そして彼女が今言ったユーフェリスというのは、自身が婚約関係にあるラジャックの妹だった。ラジャックは妹であるユーフェリスを心の底から溺愛していて、それはもう婚約者であるフィーア以上に愛情を注いでいた。それゆえに彼女を中心に行動することが少なくなく、今回もまた二人はそのことについて話をしているのだった。
「フィーア様、度重なるラジャック様の自分勝手さには周囲の者たちもみな迷惑しているのですが、いかんせん止めることもできません…一体どうしたらいいものか…」
彼は自分と妹の事になると、他のどんなことがすでに予定として入っていようとも、それらをすべて放棄してユーフェリスの元へと向かう。そしてそれは兄として当然であるという態度を崩さず、どれだけ周囲の人間に苦言を呈されようともその姿勢を変えることはなかった。
「…もう一度私の方から話をしてみましょう。それで変わるとも思えませんが…」
ユーフェリスはそうとだけ言葉を告げると、自身の部屋へと戻っていった。
――――