あらすじ
「これとこれは後で私が…公爵様には召使を送ると伝えておいて頂戴」
「承知しました、エリファ様」
てきぱきといった様子で仕事をこなすエリファ。彼女は現在ナリック男爵と婚約関係にあり、男爵の仕事の手伝いをこうして行っている。…しかし本来、中心となって動かなければならない男爵は、その姿を見せてはいなかった。
「エリファ様、男爵様の姿がまた…」
召使がそう話をすると、彼女はまたかといった表情を浮かべて答えた。
「ああ、きっと妹のセレナの所だと思います…何度も自重してくださいと言っているのに、このところ悪化しているような気がしますね…」
ナリックは自身の妹であるセレナを溺愛しており、それは周囲の人にも知られる周知の事実であった。しかしその行為がこのところひどくなっており、自身の仕事を投げ出してまで彼女の元へ足を運んでいるように見られた。男爵自身も貴族家としての自分の仕事の大切さは理解しているはずであり、だからこそそれらを投げ出してまで妹に費やす意図が誰にも分からないままだった。