あらすじ

「こんな簡単な事も分からないとは…それでよくここにいられるな君は」

「ご、ごめんなさい旦那様…」

「仕方ありませんわお兄様。人にはできることとできないことがあるのです。アリサは生まれ持っての凡人以下なので、それ以上の事を望むのは高望み、かえってかわいそうになってしまいますわ」

「それもそうだな。シェリナの言う通り、そういう事としてこの場は終わりにしておこう。彼女に感謝するんだぞアリサ。これだけ心の優しい人間は他にはいないのだから」

 そう話をするのは、兄のジオンと妹のシェリナ、そしてジオンの婚約者かつ使用人でもあるアリサ。彼女はジオンの都合で半ば強引にこの地に連れてこられていた。そもそも彼は妹のシェリナの方を溺愛しており、真実の愛と呼べるものは妹の方に向けられていた。だからこそ婚約者として条件にしたのは、自分の言いなりになるような都合のいい存在である事。気弱でおとなしいアリサはその条件に合致していたため、脅迫まがいの行為を行ってこの地まで連れてきた。

「私の機嫌を損ねるようなことは、しないほうがいいぞアリサ。せっかくつかんだ婚約というものを、もしかしたら破棄されてしまうかもしれないからな?」

 自らの言葉でそうくぎを刺すと、彼は妹を横に連れてその場を後にした。…しかし彼ら兄妹は後々、ある真実を知らされることとなり、その時絶句してしまう。アリサの正体を知って、自分たちはどれほど愚かな事をしていたのかを…

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