あらすじ
「エレスティーナ、君との婚約は今をもって破棄することになった。理由はもちろんわかっていると思うが、君が私を裏切ったからに他ならない。反論などないな?」
得意げな表情で私にそう告げるのは、婚約者のマティーレスだ。…いや、もはや元婚約者と言うべきか。
「そんな顔をされても困る。私だって婚約破棄などしたくはない。しかし仕方がないじゃないか。問題を起こしたのは君の方なんだからな」
自分の思い通りに事が運んでいるからか、自身に満ちた表情でそう言葉を続ける。…さて、そろそろ私も彼に言葉を返すことにしようかな。
――数日前――
「マティーレスが婚約破棄を?」
使用人からの告発に、私はややあっけにとられる。
「はい、間違いない様です。マティーレス様には出身を同じくする、幼馴染の関係にある女性がおり、どうやら最近非常に懇意にされているようで…」
「それで私が邪魔になったから、なにか適当な理由をつけて関係を終わらせに来るってわけね…」
…これまでにも怪しげな動きはあったものの、私は目をつむってきてあげた。…そんな親切にマティーレスが気づくこともなく、自分のためだけに私との関係を切り捨てるという…
「…いかがされますか、エレスティーナ様…」
使用人からの問いかけに対し、私は少し頭を巡らせる。…そして考えを簡単に整理したのち、あるアイディアをもって言葉を返した。
「…別に婚約破棄自体はいいわ。私ももうなんだか相手をするのにも疲れちゃったし…だけど、婚約破棄を宣告するからには、相応の覚悟を持ってもらわないとね」
――――