あらすじ
「メリー、いったい何度言ったらわかってくれるんだ…」
またこれだ…私の婚約者であるエインフォードは、何よりも自身の妹であるミレーリアを優先する。
「ミレーリアが僕に来てほしいと言っているんだ。あんなにかわいい妹の頼みを断れる兄なんているはずがないだろう?…君ならきっとわかってくれると思っていたのに…」
身勝手に予定を変更しておいて、理解力が足らない私に非があると言いたげな表情と言動だ。
…けれど、今度という今度は私も限界だ。
「…エインフォード様、これ以上彼女に肩入れをされるのでしたら」
「…?」
私の反論がやや意外であったのか、彼は少し驚いたような表情を浮かべる。しかし私の前でそんな表情を浮かべるのはプライドが許さなかったのか、すぐにいつもの堅苦しい表情に戻った。
「はあ??お前が僕に意見をするのか?一体いつからお前はそんなに偉くなったんだ?」
「…」
突然高圧的な態度と口調で私を威圧するエインフォード。
私はしばらく言葉を返さず、重い沈黙が私たちの間を包んだ。
「はあ…なんだか気持ちが覚めてしまったな…もういいよ、出ていきたまえ」
エインフォードの口から発せられたのは、突然の婚約破棄であった。
…しかしおそらく、これはただのカマかけ。彼は本当に婚約破棄をするつもりはなく、私がそれは嫌だと泣きついてくるのを期待しているのだろう。…ならば、私がとるべき行動は一つしかない。
「分かりました。婚約破棄いたしましょう。もともと私たちはあわなかったのです。これがきっとお互いのためでございましょう。ミレーリアにもよろしくお伝えください」
「…え、え?」