あらすじ

「そんなに決め手に欠けるのですか?ブレイス様…」

「すまない…こんなに時間をかけてしまうことになるとは、とても思っていなかったんだが…」

「あの婚約者を追放するくらい、あなた様なら簡単な事でしょう?それなのにどうして…」

「…いっそ、自分から消えてくれればいいのにな…」

――――

 そんな会話が二人の間で交わされた事実を、私は認識している。…たまたま部屋の前を通りかかったその時、私の婚約者であるブレイス様と、その幼馴染であるエアリスが会話をしていた。元より可愛らしい性格で人気の彼女は、当然彼にも気に入られていた。それゆえ彼女がここを訪れることは珍しい事ではなく、私ももはや対抗心を忘れかけているほどだった。
 そんな状態にあって、あの二人はそんな会話を繰り広げていた。…その実態中心は間違いなくこの私。あの二人がくっつくことを望むがために、私に自ら消えてくれないかと漏らしていた。…それもそのはずか、向こうから一方的に追放してしまっては、周囲の人間からどんな目で見られるか分からない。しかし私が自ら姿をくらましてしまえば、すべての責任を私に押し付けた挙句に、めでたく二人は婚約を果たすことができる。…二人にとって、これほど都合の良い結果はないのだろう。

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