あらすじ
「ルグラン様…セレナ様の事なんですが」
忠実なる臣下であるクヴァルが、私にそう話をもちかける。話題に挙げられたセレナは、他でもない私の婚約者だ」
「…お前も、私と同じことを考えているようだな」
私はすぐに察した。私たち二人は彼女に関して、間違いなく同じ思いを抱いている。
「…婚約者として使えるかと思っておりましたが、想像以上に能力が劣っております。知恵も働きませんし、特筆すべき力があるわけでもない。気が利くわけでもなければ、なにか秀でた魅力があるわけでもない…」
さすが、この男は私たちの事をよく観察している。私は深くうなずいてクヴァルに同意し、言葉を返す。
「ああ、まったくだ…最初こそ期待はしていたものの、今やお荷物もお荷物だ。…一体どんな環境で育てば、あんな面白みのない女が出来上がるのか…」
腕を組んでため息交じりにそう言う私に対し、クヴァルはある提案を持ちかけて来た。
「…もはやこの際、あんな使えない女との婚約は理由をつけて破棄してしまい、他を探したほうが良いのではありませんか?彼女が問題を起こしたことにして追放してしまえば、私どもに火の粉が飛んでくることもないでしょう」
「ふむ」
…言葉にするまでもなく、私の答えはもはや決まっていた。