あらすじ
「ああ、レフィーナ、来たか。この書類に目を通してサインしておいてくれ」
軽い口調でそうルーゲルが言い、提示したのは婚約破棄に関する書類であった。
「ど、どういうことでしょうか…?」
驚きを隠せないレフィーナに対し、ルーゲルは形だけの説明を始めた。
「まぁ仕方がないんだよ。もともとこの婚約は仮の物なんだから、こういう事態は想定済みだろう?」
仮のものなど初めて聞いた、という表情を浮かべるレフィーナをよそに、ルーゲルはある別の書類に夢中な様子だった。
「さて…このエミリーもかわいいな…しかしスタイルでいうとこのレミリーナも捨てがたい…」
そこから察するに彼は、次の婚約者候補として自分よりも気に入った存在が見つかったためにこのような行動に出たのだろう。それを察しはレフィーナは特に反論などはせず、素直に婚約破棄を受け入れたのだった。
しかし、ルーゲルはこの時の行いを今になって死ぬほど後悔している。というのもレフィーナはもともと、辺境の地出身の平民女という名目で連れてこられていた。だからこそ邪険に扱う事もあり、今回のように一方的に捨ててしまうような扱いもあった。…しかしその実彼女の正体は、貴族家の頂点に立つアイリーク上級公爵のご令嬢であったのだ…!