あらすじ
「まあ、そういう事だ。何ら成果をもたらしていない聖女をここに置いておくほど、私たちは愚かではない。君との婚約は今をもって終わりとし、君には辺境に行ってもらう。文句はあるまい?」
「…」
…近頃感じていた違和感は、これだったか。なにやら隣国に美しい姫君がおり、両国の関係を考えれば王子がどう出るかはだれの目にも明らかだ。それを行う上で邪魔になるのが、他でもないこの私。…この男は以前からこれが狙いだったのか。
「…では王子、隣国の社交界に呼ばれていますので、このまま出発いたしましょう」
側近の一人がそう言葉を発すると、王子はとびきりの笑顔を浮かべながら、この場を去っていった。横に鎮座していた権力者たちも王子の後に続いていき、広間には私のみが残される。
「隣国の…社交界、ねぇ…」
どうやら無効には隠すつもりもないらしい。それはつまり、二人の婚約はもうすでに内定している可能性が高い事を意味する。
「…そっちがその気なら、私にも考えがあります」
王国が私を捨てるというのなら、私も王国を捨てる。