あらすじ
「姉妹なのだから、少し直せば着られるだろう。式までに仕上げてくれ」
半年かけて縫ってきた花嫁衣装を前に、婚約者はそう言った。
彼が選んだ新しい花嫁は、私の妹。私には、妹の寸法に衣装を直す仕事が残されたらしい。
裾に咲く薔薇は、彼が好きだと言った花だった。
この衣装で隣に立つ日を、私も楽しみにしていたのに。
衣装を抱えて身を寄せた伯母の家で、顔なじみの青年が尋ねる。
「ミレーヌ自身は、どの花が好きなんだ?」
誰かの好みに合わせることに慣れていた私は、その問いにすぐには答えられなかった。
けれど、衣装を取りに来るという妹たちへの返事は、もう決まっている。
「これは、私が着るために縫ったものです」