あらすじ
小さい頃から、鳥にあこがれていた。鳥のように、あの空を飛んでみたい。
ただ、小鳥のように飛ぶんじゃない。
海鳥たちのように悠々と翼を広げ、体いっぱいに風を浴びながら飛びたい。
コンドルのように、大きな翼で空を滑るように、どこまでも自由に、空を飛んでみたい。
こんなことは、子供の頃に一度は考える。
きっと、誰もが一度くらいは思うような、そんな…そんな単純な憧れだった……。
「T1906!!操舵が急すぎる!!」
「T1906!!勝手に機首を動かすな!!!」
「T1906!!バンクを深くしすぎるな!!」
「T1906!!高度は一定を保て!!」
……………空はこんなに広いのに……窮屈だ……………
「T1906!!何を考えている操縦に集中しろ!!」
バンッ!!
教官がファイルを机の上に無造作に投げる。
黒髪黒目で中肉中背。どこにでもいそうな青年――T1906は、姿勢よく座ったまま、目の前に投げ出されたファイルを一瞥し、すぐに教官へ視線を戻した。
「そんな操縦をしてると!…おまえ!…いつか!!…墜ちるぞ!!!」