あらすじ
この国では、人が亡くなると、その翌朝から七日目の朝までのあいだに一通だけ、死者から手紙が届くことがある。
誰に届くのか。
何が書かれているのか。
そもそも届くのか。
生きている人には選べない。
イネスは、その「七日便」を扱う郵便局の配達人だ。
毎朝、灰色の仕分け箱に現れた封筒を受け取り、宛先へ届ける。
泣く人もいる。
怒る人もいる。
読まずにしまう人もいる。
そして母マルタが亡くなった。
一日目。
二日目。
三日目。
自分宛ての手紙はない。
六日目になっても、ない。
母には、最後に何も言いたいことがなかったのだろうか。
七日目の朝。
仕分け箱の一番下に、見慣れた字で差出人の名前があった。