あらすじ
「柳丹砂。白鉱を盗んだ疑いで、お前を南炉房から追放する」
宮廷の錬丹炉を八年間支えてきたのは、誰にも評価されない一人の灰掃き女だった。
彼女の名は、柳丹砂(りゅう・たんしゃ)。
名門錬丹師たちが華麗な炎を操る陰で、炉の灰を読み、事故を防ぎ、誰にも知られず失敗を食い止めてきた。
だが、その仕事を認める者はいなかった。
追放の日、丹砂は最後の警告を残す。
「その炉で二段火を使えば、丹が壊れます」
上司は鼻で笑った。
そして御前献丹の儀式で、百粒すべての丹が砕け散った。
「柳丹砂を呼び戻せ! 今すぐだ!」
さっきまで無能と罵っていた上司が、大勢の前で叫ぶ。
しかし、丹砂はもう戻らない。
彼女が向かったのは、皇都の片隅にある小さな工房だった。
赤く濁る水に苦しむ人々。高価な浄水石で暴利を貪る商人。名門の肩書にあぐらをかく錬丹師たち。
丹砂は八年間培った技術で、その常識を次々と覆していく。
自分の作品でも、不良品なら容赦なく叩き割る。
宮廷の名匠が見落とす炉の異変を、灰の色から読み取る。
そして、かつて彼女を笑った者たちは、次々に自分たちの間違いを思い知らされる。
これは、無能と蔑まれた灰掃き女が、自分の名前と技術で人々を救い、宮廷の嘘を暴いていく、中華風錬丹ファンタジー。