あらすじ
雪の夜、功山寺。
高杉晋作のもとに集ったのは、わずか八十人ほど。
長州の命運を懸けた、後戻りのできない決断が始まろうとしていた。
時は幕末。
異国の脅威が迫り、幕府の権威が揺らぎ、日本という国が大きな転換期を迎えていた時代。
長州藩に、一人の若き志士がいた。
その名は、高杉晋作。
吉田松陰のもとで学び、久坂玄瑞と競い合い、上海で世界の現実を目の当たりにした晋作は、やがて一つの信念を抱く。
人の力を決めるのは、生まれや身分ではない。
武士だけでなく、農民も町人も、志を持つ者が国を守るために立ち上がれるはずだ。
その革新的な思想から生まれたのが、幕末史にその名を刻む「奇兵隊」であった。
しかし、晋作の前に立ちはだかるのは、外国の軍艦や幕府の大軍だけではなかった。
同じ故郷を愛しながら、異なる道を選んだ人々。
志をともにした友との衝突。
帰りを待つ家族への思い。
そして、自分を信じて命を預ける仲間たち。
守るべきものが増えるほど、男の背負う責任は重くなっていく。
吉田松陰、久坂玄瑞、桂小五郎、伊藤俊輔、そして坂本龍馬。
激動の時代を生きた英傑たちとの出会いと友情。
数々の戦い、譲れぬ信念、そして命を懸けた決断。
圧倒的な逆境を前にしても、高杉晋作は決して己の信念を曲げようとはしなかった。
人は何のために戦うのか。
本当に守るべきものとは何なのか。
破天荒な風雲児として知られる高杉晋作。
だが、その胸に宿っていたのは、誰よりも熱い志と、人を信じる強さだった。
これは、ただ一人の英雄が歴史を変える物語ではない。
彼とともに立ち上がった仲間たち、家族を守ろうとする人々、そして名もなき者たちの人生を描く物語でもある。
――嵐を起こす男、高杉晋作。
その生き様が、今、幕末の歴史に鮮やかによみがえる。
『海より大きな男 ―坂本龍馬、志の涯て―』と世界観を共有する、本格幕末歴史小説。
坂本龍馬とは異なる道から日本の未来を見つめた、もう一人の英雄の物語。