あらすじ
その昔、とある国の帝を一匹の妖狐がたぶらかした。
妖狐には、人に紛れて悪さをする野狐と、平和と秩序を愛し気まぐれに人を助ける善狐がいる。
人間と善狐が協力して国を脅かすその野狐を追い払うことに成功し、それに伴い新たな帝が誕生した。
新たな帝に乞われた善狐は、彼に近しい五人の臣下の家に己の力を与え、その力を継いで生まれた人間は狐継と呼ばれるようになった。
彼らは代々、国の安寧のために密かに戦っている。
狐継であり、銀灰家の当主でもある伊吹は、かつて父を見殺しにした鬱金家当主を憎んでおり、鬱金家などには負けぬよう、銀灰家の当主として相応しい行いをするよう、日々己に言い聞かせる真面目な青年だ。
そんな彼が単身お役目に向かった村に先に滞在していたのは、鬱金家当主の息子、鬱金焔だった。彼がお役目からの戻りをわざと遅らせているという噂を耳にしていた伊吹は、思わず叫ぶ。
「なぜ貴様がここにいる!」
これは、己が血の本能に悩み、翻弄され、藻掻きながらも戦う彼らの物語。