あらすじ
半年後、俺はこの女の首を落とす。
王都の処刑人ジーク・ヘンラインが、処刑台の下で出会ったのは、死刑判決を受けた悪役令嬢ロゼリア・ヴァルシュタインだった。
王太子暗殺未遂。
毒殺。
敵国との内通。
侍女への虐待。
数々の罪を重ねた毒薔薇の令嬢――のはずなのだが。
「慣れておこうかと」
「何に」
「死ぬ場所に」
なぜか彼女は毎週、処刑台の下へやってくる。
焼き菓子まで持って。
しかもロゼリアは、ジークが自分を殺す処刑人だとは知らない。
ただの刑場の管理人だと思っている。
毎週会って。
菓子を食べて。
どうでもいい話をして。
そうしているうちに、ジークは気づいてしまう。
――この女、本当に人を殺したのか?
調べれば調べるほど、証言と記録は噛み合わない。
毒を買ったはずの日。
罪を訴えたはずの侍女。
父親の証言。
半年も先に設定された処刑日。
そしてロゼリア本人だけが、自分の無実を証明しようとしない。
「死ななかったら、何がしたい」
処刑まで、あと十三回。
十二回。
十一回。
数えないつもりだった。
けれど半年後、彼女を殺す刃を握るのは俺だ。
死ぬ準備をしている悪役令嬢と、その首を落とすはずの処刑人。
毎週の待ち合わせから始まる、処刑期限つきの恋と謎解き。