あらすじ
2043年。大学生の田辺海翔は、卒業論文「VOICEが及ぼした日本社会の変遷」に取り組んでいた。
資料となるのは、父・グリフが残した大量のノート。そこには、電子署名の仕組みにすぎなかったVOICEが、わずか十数年で日本独自の直接民主制へ成長していく過程が記されていた。
道路脇の草刈りを求める一票。高校生の政治参加。VOICEを恐れる政治家たち。制度を政府から守るための市民投票。そして、年金、人口減少、教育、産業投資をめぐる市民会議。
VOICEは正解を与えてくれる仕組みではない。立場も世代も異なる人々が同じ机に座り、不完全な答えを自分たちで選ぶための場所だった。
だが、日本が新たな防衛構想「NINJA」を進めたことで、VOICEは米国、中国、ロシアを巻き込む国際危機の中心へ押し出されていく。
草刈りの要望から始まった一票は、やがて総理を選び、国が最初の一発を撃つかどうかにまで届く。
父たちの世代は、この国に何を残したのか。そして、その先を生きる海翔たちは、何を選ぶのか。
『この島々のまつりごと』最終部。人々が自分たちで考え、話し合い、決める国の、その後の物語。