あらすじ
中学二年生の鈴花は、毎日にうんざりしていた。
朝は洗濯とお弁当。ポストには、父が作った借金の督促状。学校ではズボラな担任の代わりに働かされ、「宿題写させて」と頼まれたら断れない。自分の勉強は夜中、もしくはなし。
ある日、階段で足を滑らせておでこを打った鈴花は、心配そうな母の顔を見て、つい口にしてしまう。
「……どちらさま、ですか?」
その瞬間から、鈴花は記憶喪失のふり。家事も、委員長の仕事も、宿題の貸し出しも、「記憶がないのでやり方がわかりません」で全部おしまい。すると、なぜか母は「わたしは、あなたの姉よ」と言い張りはじめ、父はパチンコ禁断症状で洗濯機の前に正座し、自称「彼氏」の地味な男子が現れ、そして、ある日。
玄関のチャイムが鳴って、もうひとりの「お姉ちゃん」がやってきた。
笑って、ツッコんで、ちょっと泣ける。
うそだらけの家族の食卓で、鈴花はやがて、あることに気づいていく。