あらすじ
辺境の植民惑星に生まれたカイルは、一生をその星の上で過ごすことを定められた身分だった。
しかし、ガラスの天井に閉ざされた狭い空を見上げながら、いつか宇宙へ出ることを夢見ていた。
カイルは惑星の警備隊に入り、大気圏内用巡回艦の操縦士として腕を磨いていた。どれほど上手く飛べるようになっても、待っているのは鉱区と輸送路を巡回する変わり映えのしない毎日。それでも、いつか訪れるかもしれない機会を信じ、飛ぶことだけは諦めなかった。
そんなある日、巡回中のカイルは荒野に不時着した小型宇宙船を発見する。
そこに乗っていたのは、皇位継承争いから逃れてきた一人の皇女だった。
皇帝の病状が悪化し、皇族と貴族たちが次代の帝位を巡って争い始めた銀河帝国。皇帝から正統な後継者として認められていた第一皇子は、強大な軍事力を握るヴァルケン公爵家と第二皇子の襲撃を受けて命を落とした。
皇帝になるつもりなどなかった皇女は、死の間際の第一皇子から、帝位の正統性を証明する「継承の短剣」を託される。
その短剣を奪うため、彼女を追ってきた艦艇が植民惑星へ姿を現す。
皇女は帝位を望んでいない。
カイルも、英雄になりたいわけではない。
彼はただ、宇宙へ出たかった。
魔力と科学が星々をつなぐ世界。辺境の空しか知らなかった巡回艦乗りと、争いから逃げ続けてきた皇女。
二人の出会いが、やがて分裂する銀河帝国の運命を大きく動かしていく。
これは、何者でもなかった辺境の青年が星の海へ飛び出し、皇女とともに銀河帝国を再統一するまでの物語。