あらすじ
雨の降りしきる路地裏で、少女は独り膝を抱えていた。
盗みを強いるチンピラたちから、ようやく逃げ出した夜のことだ。
そっと差しかけられた、一本の傘。
それが、鍛冶師トレント・アービーとの出会いだった。
それから六年。
弟子となったレディは一人前の鍛冶師へと成長し、山奥の工房で師と穏やかな日々を送っていた。
けれど、優しい師匠には、決して語らない過去があった。
ある日、固く立ち入りを禁じられていた師の部屋の奥で、レディは見てしまう。
かつてトレントが振るった「赤き魔剣」と、その刃に刻まれた血塗られた記憶を――。
師の身を蝕む、魔剣の影。
そして、人の手では打てぬはずの魔剣を打つ力。
師匠を救うため、レディは槌を握る。
その一振りが、二人の運命を狂わせていくとも知らずに。