あらすじ

初勝利まで、あと少し。先頭に出た相棒が、よそ見をした。 二十一歳の女性騎手リーデは、いまだ未勝利。相棒のイステルは、食堂の女主人が買った赤茶の竜だ。次も乗っていいとは、まだ言ってもらえていない。別の騎手なら、もっと早く勝たせられるかもしれない。 「イステルが初めて勝つときに、私が乗っていたい」 名門育ちの同期は、練習には付き合ってくれる。本番では、少しも譲らない。その黒い竜は、かつて戦争で伝説になった竜の孫だった。 一着を欲しがるのは、騎手だけではない。店の窯を直したい竜主、引退した竜を養う調教師、若い二頭を手放したくない育成者。賭けた金を失った男も、負けた日の記事を書く記者も、同じ食堂へ顔を出す。 目指すのは、四歳の竜だけが出られる秋冠賞。イステルには今年しかない。まず一勝。そこから、十二頭の出走枠を争わなくてはならない。 小さな厩舎から、海の向こうの競走場へ。やがて若い竜の背で、かつての相棒の仔と競う日が来る。

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カクヨム
カクヨム2026/10/27
  • 現在の作品竜の子ら